ガラスペンについて(歴史や使い方)

<歴史>

ガラスペンは、つけペンの一種で1902年に日本の風鈴職人であった佐々木定次郎氏によって考案されました。 

筆の穂先の形状をしたガラスの側面に溝をつくり、そこに毛細管現象を利用してインクを吸い上げることで、かなりの長さの筆記ができるものです。金属ペンとは異なりペン先を自由に走らせることもでき、墨汁も利用できます。(インクを一度付ければ、ハガキ1枚は書けます) 

毛細管現象を発生させるガラスペンの開発には、2本溝から始まり徐々に本数を増やし、試行錯誤の上、日本製のガラスペンの多くは8本溝になったようです。海外製品には溝が浅く10~12本溝の物でインク保持力の低いものや、文字が書けない装飾品として販売されている場合も多数あるようです。

 かつては事務用として重宝されたこともありますが、現在はボールペン等が登場したことにより、ほとんど利用されていません。

 当時はペン先のみがガラス製でしたが、1989年に佐々木定次郎氏の弟子にあたる方が、ペン軸も含め全てガラス製のものをつくられ、見た目も美しく工芸品として評価されています。

 使い捨ての文房具があふれてしまった現代ですが、大事に使えば一生ものとなるガラスペンを使うことで、日常とは違う感覚を味わってみてはいかがでしょうか。 

参考:ウィキペディア、佐瀬工業所HP 


<使用前準備> 

使うインクは万年筆用やつけペン用の水性インクをおすすめします。墨汁でも使えます。また、使う前にペン先の溝の汚れを落として、水気を取っておくと良いでしょう。 つけペン用のインク等水性のインクを使うことを推奨します。速乾性のものや油性のものは、溝を詰まらせる原因になるので注意が必要です。インクが乾燥する前に洗い流す必要があります。  

<インクの付け方>

 ペン先にインクが触れれば毛細管現象でインクを吸い上げるので、少しならこれで十分書くことが可能ですが、安定した太さで書くためにはペン先を1/3程度インクに付けて、そのまま真っ直ぐあげます。この時インク瓶の淵で余計なインクを落とそうとすると、ペン先を破損する原因になりますので注意してください。余分なインクは毛細管現象でペン先に吸いあがってくれます。 インク瓶の底にスポンジ等をひいて、ペン先を保護すると良いでしょう。

< 書くときのコツ>

 吸い上げたインクが乾燥しなければハガキ1枚は十分書けます。ペンの溝にあるインクをまんべんなく使い切るように、ペンを回しながら書くと良いでしょう。 筆圧はボールペンで書くときと同じで十分です。インクが出にくい時は少し傾けてペン先の溝が紙にあたるようにすると良いでしょう。ちょうど万年筆で書く角度が書きやすいと思います、ボールペンのように立てて書くことに慣れている方は、少し寝かせ気味で書くことをお勧めいたします。 

<使い終わったら>

 書き終わったら水(できれば流水)でペン先のインクを落としてから、保管することをお勧めします。(残ったインクが乾燥して溝に残ると、溝が詰まってインクの吸い上げや、インクの出が悪くなる可能性があります)洗浄が終わったら、軽く水気を軽くふき取り、布やゴム等でペン先を保護して保管すると良いでしょう。 ガラスのコップなど固い容器に水を入れて、かき回すように洗うとペン先の破損につながるので、紙コップなどやわらかい素材を使うことをお勧めします。 

<書き味の調整>

 あまりお勧めはしませんが、ペン先の先端の溝がわずかに欠けるなどして、書きにくくなってしまった場合は、#1000番程度の耐水ペーパーに水を垂らし、書くときの角度より若干たて気味の角度で、ペンを回しながらペン先を研磨することで書き味を調整することができます。 この方法を行った場合は、徐々に書いた線が太くなっていきます。 

Glass Studio Reborn

2016年に工房を立ち上げ 主にバーナーワークによるガラス作品(ガラスペン・ペンダント等)を制作 生涯現役を目指して日々精進中